京都醸造インタビュー

Kyoto Brewing Company Front・京都醸造フロント

京都は寺院や神社、そしてもちろん忘れてはならない芸者が有名であり、クラフトビールはあまり知られていない。実は京都には数多くのクラフトビール醸造所があり、その大多数は、酒の醸造所が副業的にビールの生産を始めたという典型的な創業歴史に従っている。しかし、京都醸造株式会社(Kyoto Brewing Company)はこれらの典型的な醸造所とは非常に異なる経緯をたどってきたーこれまでこのビール天国では前例のないものなのである。

アメリカ人、カナダ人、そしてウェルシュ人がバーに座っている。。。これはでっち上げの話ではない。2015年に創業して以来、 京都醸造株式会社は止まることなく成功を収めてきている。KBC(京都醸造株式会社は往々にしてこの略称で呼ばれる)の背景にいる3人はクリスŸヘインジ、ポールŸスピード、そしてベンジャミンŸファルクである。この3人は冬季スポーツの愛好家であるところが共通点であったが、京都とは関係なかった。ことの始まりは寒冷気候であるより北の青森県であった。青森ではクラフトビールはあまり人気があるとは言えない。ーBe Easy Brewing(ビーイージーブルーイング) がその中で秀でていた。しかし、ビールをこよなく愛するこの3人にとって、特にベルギースタイルのビールに関しては、このブルーリーも理想からは程遠いものであった。

青森での出会いの後、クリスはアメリカでAmerican Brewers’ Guild (アメリカ醸造組合)やPort Brewing / Lost Abbey (ポートブリューイング/ロストアビー)(長野貿易会社により日本でも入手可能)で経験を積むことで、より深く学習し、醸造の腕を磨いた。ポールは青森より南の東京へ引っ越し、 金融関係の仕事についたが、その一方で、クラフトビールの人気が東京で急成長するのに気がついていた。ベンジャミンもポールに続いて東京へ引っ越し、クラフトビール業界へ引き込まれていったのだった。

Kyoto Brewing Company Crew ・京都醸造スッタフ

Courtesy of KBC. ・画像提供:京都醸造

この全く異なる方向へと進んでいった3人からどのようにしてKBCが生まれたのか?クリスがポールとベンジャミンに何となくブルワリーをやってみたいという最初のアイディアを持ちかけたのは、彼がすでに京都に数年間住みついてからのことだった。当時京都のクラフトビール市場はまだ比較的小さく、例えば、西に30分で行ける大都市大阪と比べるとかなり小規模であることが、この3人を魅了した。京都は古い歴史とそれに繋がる伝統、さらに伝統的職人芸に根深く支えられている街である。その一方で大阪や東京と同様に、新しい料理やデザイン、飲み物など、新しいものを取り入れようとしている街でもある。ここで、KBCが誕生したわけである。

日本では、ブルワリーにその醸造場が存在する地域又は市の名前をとってつけることは滅多にない – 例外を上げると、志賀高原ビール、湘南ビール、箕面ビールなどがある。一方で、アメリカではブルワリーにその地域の名前をとって名付けることはごく普通のことである – それによって、地域への忠誠を示し、その地域に根付くという誇りを持つことができるからだ。京都にはすでに酒やクラフトビールのブルワリーが存在し、この3人の男たちはこの都市の名前を会社の名前として取り入れない手はないと思ったのだった。そこでとりあえず日本名を考え、(京都醸造) 幸運なことに他に使用されていず、使用可能であったため、この名前が生まれたのだった。

しかしながら、この幸運は長続きせず、 その他大勢が日本で対面するように、お役所仕事という災に面することになった。装置を海外から輸入するのは基本的に簡単なことではない。しかし、それを踏まえた上でも、ビール醸造装置を海外から輸入するのは全くもって歯痒いほどの一段階上の難しさなのである。食品や飲料品の製造に関与するものの輸入はすべて、日本の非常に厳しい輸入ガイドラインに従わなければならないのだ。もし、これに従わないで注文をすると、税関で各部品がひとつひとつ検査されるのを待つことになるのである。

これに加えて、遅れを生じた最も大きな問題は、2015年に起こったアメリカ西海岸輸出港におけるストライキだった。この時、アジアへのおよそ70%の搬送を取り扱う29の港が閉鎖し、KBCのビール醸造装置が全くどうにもならない状態で置き去りにされたのだった。そのため、醸造は不可能であり、お金は無くなっていき、収入はほとんど得られない状態に陥る羽目になった。

ブルワリーは木材工場を改装したものだったのだが – これも会社に幾つかの問題を生じた。表側の入り口はドアが一つで巨大なタンクを通り抜けるようになっているため、KBCの初期における増築は計画よりもかなり大掛かりになってしまったのだ。このタンク周辺は通り抜けるのに問題はないのだが、この4キロリットルのタンクがブルワリーにおけるその他のすべての装置とともにどのように設置されているかを監視するのは難しいのである。

産業界もKBCを補助してくれた – 地域のブルワリー産業から多大な援助を受けることができたのだ。箕面ビールはビール醸造をし、彼ら自身のビールを市場に出すことを非常に奨励してくれた。KBCの3人の男たちは下北沢のバーに座っていた時、箕面ビールの大下かおりが店内に入ることに気づいた。彼らは最初、彼女に話しかけるのをためらっていたのだが、何と、彼女の方から彼らに歩み寄り、京都において素晴らしいビールを作り上げるように励ましてくれたのだった。さらに、箕面ビールは彼らの会計士を紹介し、日本の詳細なお役所仕事に対応出来るように援助してくれたのだった。

遠くからは Devilcraftも装置の輸入の補助をしてくれ、なんと日本のお役所仕事に対する書類作成に関してまで援助をしてくれたのだった(インタビューへのリンク)。KBCはこのおかげで2018年にKyoto Beer Lab (京都ビールラボ)やWoodmill Brewery (ウッドミルブルワリー)まで開店することができたのである。

クリスの過去における経験は彼らにとって非常に強固な基礎となり、これをもとに3人は彼らのオリジナルとなるビールの処方箋を考察し始めた。すでに存在する原理は横に置いて、3人は京都の人々が、そして京都の街が、誇りに思うようなビールを作成しようと決めた。ベルギービールは彼らの実習から得られた知識として重要なもので、特にSaison DuPont (サイソンデュポン)が彼らの好みであったため、このスタイルのビールが彼らの作成するビールで中心となった。

それゆえ、KBCのビールは酵母使用からビールのスタイルに渡り、ベルギーのそれにおける影響を強く受けている。彼らが使用する主要な酵母の一つはBelgian Ardennes(ベルギーアルデネス)という、スパイスが効きかつフルーティなフレーバーをビールに与えることで知られているものである。さらに、この酵母はビールを明るい色に仕上げ、光線の具合にかかわらず見栄えが良くする特典がある。KBCで使用するホップは彼らの国際性を反映するように、アメリカ合衆国、ニュージーランド、オーストラリア、スロヴァニア、イギリスから輸入され、そのすべてが何らかの形で彼らのビールに使用されている。もちろん、ベルギービールは彼らのビール作成スタイル上に非常な影響を与えており、ベルギーセゾン、ストウト、ブロンドアレは彼らの製品一覧の中でも中心製品となっている。

「一期一会」と「一意専心」は、私たちがビール天国で初めて試したKBCビールの2品であり、KBCにおける定番(一年を通して)の一つである。これらのビールは日本全国で販売されており、セゾンやベルギーIPAスタイルの素晴らしい代表作である。最終的にKBCは自身あるいは他の醸造所とのコラボにより、75以上の異なるビールを生産している。注目されているコラボはHeretic Brewing (ヘレティックブルーイング;アメリカ合衆国)、Tiny Rebel (タイニイレベル;ウェルシュ)、Y Market (ワイマーケット;日本)などである。

将来の展望として、KBCはビールの瓶詰めを開始し、まず最初の試みとして「一期一会」「一意専心」「黒潮のごとく」の3品が市場に出されている。この瓶製品は現在ブルワリーで購入できるが、将来は京都市内における他の場所でも販売を開始する計画もある。ブルワリー内にある酒場(タップルーム)は非常に人気があるため、もっとビールを楽しむ人たちへの空間を広げるため、2018年3月には2階も解放された(タップルームへのリンクを加える)。

経路としてバレル(樽) 熟成プロジェクトもある。ブルワリーの向かい側には、KBCが一部を借りている複数の建物がある。どの樽成熟過程でも同じように言えることは、時間と経費を管理することが2大重要要素なのである。必要なスペースを確保すること – スペースには費用がかかる – そして京都の土地価格は海外からの投資家による購買により上昇するという現状で、これを達成するには少し時間がかかるであろう。樽の成熟には6ヶ月から5年かかるため、時間は非常に貴重である。冷温技術(平坦な金属トレーを使った解放発酵チャンバー)もインタビューで質問されていた;しかし、この地域の気候ではこのスタイルの発酵は奨励されない。

京都醸造株式会社は京都の手作りビールの、さらに日本におけるベルギービールの先導者である。もし京都に住んでいるのならば、ぜひ週末に足を踏み入れ、2、3杯のビールを楽しみ、そしていくらか持ち帰って欲しい。もし、このブルワリーに行くことができないのであれば、京都市内にある地元の手作りビールを取り扱うバーでは常に最低1種類のKBCビールがあるはずなので、チェックして欲しいと思う。もし、日本で京都以外の地域に住んでいるのならば、探してみて欲しい(もし京都人が大量のビールを地域外に送りだすことを許せばの話だが)。

 

 

About the Author

Rob

Been drinking beer since longer than I can remember. You can find me in a bar, on the slopes, or doing DIY. I enjoy porters, imperial porters, golden ales, and amber / viennas.

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